飢餓は5日で終わる
なのに70年放置されてる
これは技術の話ではありません。
優先順位の話なのです。
1年で400兆円。10年で4,000兆円。
世界の軍事費は年間およそ2兆7,180億ドル=約400兆円です。これがどれくらいの大きさか——
1年で400兆円。これを365日で割ると 1日あたり約74億ドル日本円でおよそ1兆円が世界のどこかで軍事費として消えている計算になります。
しかもこの金額は増え続けています。2024年の伸び率9.4%は冷戦終結以降で最大でした。2025年には2兆8,870億ドルまで増えこれで11年連続の増加です。2024年時点で地球上の1人あたり年334ドル。1990年以来の最高水準でした。
このお金は存在しないわけではありません。毎年実際にどこかで使われているお金です。では向け先を変えたら何が解決するのか数字で見てみましょう。
軍事費のたった5日分で
世界の飢餓は1年なくせます。
「世界の問題はお金が足りないから解けない」と思われています。でも違うのです。経済的にはとっくに解決可能で、ただそこにお金を向けていないだけのものがいくつもあります。
飢餓の解決に必要なのは年間約400億ドル。軍事費に直すとわずか5日分ほどです。つまり毎年世界は「飢餓を約70回終わらせられるお金」を、別のことに使い続けているのです。
軍事費を回したら何が解決するか
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お金は足りている。コロナが証明した。
「お金がないから解けない」は本当でしょうか。2020年世界はこの問いに自分で答えを出してしまいました。
新型コロナを緊急事態だと各国が判断した瞬間財政の蛇口は一気に開きました。IMFの集計では最初の1年間で世界が投じた財政支援はおよそ16兆ドルに達します。
飢餓を1年なくす額は約400億ドルでした。16兆ドルはその約400倍です。コロナの1年で動いたお金だけで世界の飢餓を400年ぶん終わらせられた計算になります。
しかもお金は良い方向にだけ流れているわけでもありません。IMFの試算では各国政府が化石燃料に与えた直接の補助だけで 2022年に約1.3兆ドル。石油や石炭の値段を本来の供給コストより安く抑えるために使われたお金です。
健康被害や環境破壊などの外部費用まで含めるとIMFは総額7兆ドルと見積もります。この7兆ドルは被害額の推計であるため算定法によって幅がありますが直接の補助金である1.3兆ドルだけでも気候対策の不足分に迫る規模です。それが気候を整える側ではなく悪化させる側へ毎年流れています。
2025年天秤は逆へ振れました。軍事費が過去最高を更新したその同じ年に先進国の途上国援助(ODA)は1,743億ドルへ23.1%減。統計が始まって以来最大の縮小です。米国1国で56.9%減。同じ年の軍事費と比べれば援助はその6%ほど。片方は過去最高まで開きもう片方は史上最大まで絞られる。同じ年に逆の向きへ動いたのです。
そして「世界を飢えさせよう」と決めた人はどこにもいません。各国がそれぞれの予算を組みそれぞれの都合でお金を配った。その合計がたまたまこの形になっているだけです。
誰も決めていません。だから誰にも止められません。これがいちばん静かで、いちばん動かしにくい壁です。
世界はお金が足りないんじゃない。
お金の向け先を変えていないだけだ。
飢餓も、マラリアも、教育も、水と衛生も——必要な額は軍事費の数%に収まります。「できない」のではなく「していない」のです。FILE.01が"お金でも届かない壁"の話なら、こちらは"お金は届くのに動かさない壁"の話です。前者は科学の限界。後者は、人類の選択です。そして選択はいま目に見える形で下されています。軍事費は11年増え続け援助は史上最大の削減を記録しました。向け先は変わっていないのではありません。逆へ動いています。そしてこの選択はまだ誰にも止められないまま今年も更新されようとしています。